栄養たっぷり! 干し野菜の美肌効果
野菜には、蒸したり焼いたり、火を通さず生で食べたりと様々な食べ方がありますが、中でも天日干しにした野菜は、生のものよりも栄養価が高く、野菜本来の深い旨みを楽しめます。そこで今回は、干し野菜で得られる栄養や美肌効果、作り方やレシピまで干し野菜の魅力を紹介いたします。
干し野菜の美肌効果
干し野菜は生の野菜よりも栄養素が豊富
多くの野菜は8割以上の水分を含んでおり、天日干しをすると水分が飛ばされ乾燥します。太陽の紫外線効果で栄養素が高まるうえに、ギュッと旨みが凝縮され野菜本来の味や香りを楽しめるのです。人は、紫外線を浴びるとシミやソバカスの原因となりますが、野菜にとっては栄養を高める源になるのですから不思議ですよね。
天日干しで、どんな栄養素がどの位増えるのかを、干し野菜の定番「大根」と「椎茸」で確認してみましょう。
●生の大根と切り干し大根の栄養価の比較
※大根100g辺りの栄養素の比較です。
上記の表が示すように、太陽を浴びた「切り干し大根」の栄養素が、生の大根よりも上回っています。切り干し大根の豊富な栄養素は、人の骨や歯、血を作り出したり、体内の毒素を排出してくれたりと健康に良いだけでなく、ニキビなどの肌荒れを改善してくれる美肌効果もあるのです。
●椎茸は、紫外線を浴びると栄養素が変化する!?
人は、紫外線を浴びると体内でビタミンDが作られます。ビタミンDは、強い骨や歯を作り出すカルシウムの吸収を促進します。椎茸も同様に、紫外線を浴びると、エルゴステリンという成分がビタミンDに変化する性質をもっています。また、乾燥させた椎茸のビタミンDの量は、生の椎茸の約32倍にも増えるのですから驚きですね。太陽の日で干した椎茸は、生の椎茸にはない独特の香りや旨みも楽しめるので、天日干しにするのにオススメの野菜です。
栄養だけじゃない! 干し野菜の優れた効果とは?
干し野菜は、栄養価が高まるだけでなく、以下のような優れた効果があります。
■野菜本来の旨みと甘み、歯ごたえを楽しめる
天日干しにすると野菜の水分が飛ばされて、旨みや甘みが凝縮されます。太陽光で活性化された酵素がでんぷんを分解し、ブドウ糖や麦芽糖を作り出すため甘みが出るのです。また、生野菜は柔らかい食感ですが、日干しをすると独特の風味と歯ごたえが出るため満足感も得られます。
■ニキビや肌荒れ、シミやソバカスを防ぐ美肌効果
干し野菜の栄養素は健康だけでなく、女性にも嬉しい美肌効果も期待できます。例えば、「ドライトマト」には、シミやソバカス、肌荒れを防ぐビタミンCやリコピンが豊富に含まれています。生のトマトは独特の青臭さと酸味があるので苦手な方も多いでしょう。しかし、ドライトマトは、青臭さが取り除かれるうえに甘みが凝縮するので、まるでフルーツのような甘みで食べやすくなりますよ。ドライトマト以外で、「干しゴーヤ」もビタミンCが豊富です。しかし、ドライトマトと異なり干しても苦味は無くなりません。というのも、ゴーヤは苦味にこそ栄養が含まれているのです。食べるのは苦手な方には、苦味がやや抑えられたゴーヤ茶がオススメです。
■野菜高騰にも嬉しい! 長期保存が可能
水分が抜かれているため傷みにくく長期保存が可能です。台風や長雨の影響で野菜が高騰した時も、干し野菜があれば節約にもなります。また、使いたい時に食べたい分量のみ使用し、後は残しておけるのも嬉しいですね。
■野菜をたくさん食べれる
水分が抜かれ野菜が小さくなることで、生の野菜よりも多く食べることができます。生野菜は水分が多く含まれているのですぐにお腹がいっぱいになってしまいますし、味も薄いので飽きてしまいがち。一方、干し野菜は噛めば噛むほど深い味わいと満足感を得られます。
■下処理無し、時短で料理ができる
生野菜はそのまま食べられるものもありますが、皮を剥いたりヘタを取ったり、アク抜きをしたりと下処理が必要になるものが非常に多いです。しかし、干し野菜は下処理いらずで、そのまま調理ができ煮崩れもありません。しかも、水分が飛んでいるため味が染み込みやすく、時短調理が可能です。味が染み込みやすいので、調味料はいつもより少なめに!
○干し野菜の作り方○
実際に干し野菜を作ってみましょう! 今では家庭のベランダでも手軽に干し野菜が作れるアイテムが販売されていますので、是非作ってみて下さいね。自分で作るとより美味しく感じますよ。
【材料】
- お好みの野菜 好きな分だけ
- キッチンペーパーなど水分を拭き取るもの
- 日干しをするネットやザル、網など
- 日干し野菜を保管する瓶や袋など
【作り方】
- 野菜をよく洗い水分をしっかり切っておく
- 皮を剥かずに調理に合わせた大きさにカットする
- ざるやネット、網に入れて野菜を天日干しにする
- しっかりと乾燥させる際に2日ほど日干しをする
- 乾燥したら密閉容器や袋に入れて保管する
【ポイント】
- もやしなどの直ぐに痛みやすい野菜は避けましょう。
- 乾燥すると野菜は小さくなるので、大きめにカットしましょう。
- 野菜を干す際は、天気の良い日の朝10時から15時までがオススメ。
- 夕方から夜は必ずお家の中にしまいましょう。
- 野菜の日干しは1日から2日で、野菜の種類にもよりますが水分が少ない野菜は3時間、その他の野菜は6時間ほどで完成します。
- 冷蔵庫であれば5日間、冷凍庫であれば1ヶ月ほどもちます。
干し野菜を使ったオススメレシピ
干し野菜を使った栄養価の高いお手軽レシピを紹介致します。調理前に干し野菜はよく洗い、水に20分ほど浸し戻しましょう。浸したお水は、調理の際に出汁として使えるので捨てないで取って置いて下さいね。
☆野菜の旨みを活かした栄養価豊富な切り干し大根煮
【材料】
- 切り干し大根 25g
- 干した人参 25g
- 干した椎茸 15g
- 油あげ 1枚
- 干し野菜を戻したお水全て
- 醤油 大さじ3
- 塩 少々
- 砂糖 小さじ1
- みりん 大さじ1
- 酒 大さじ1
- オリーブオイル 小さじ1
【作り方】
- 切り干し大根、干し人参と椎茸を水で20分程戻す。
- 油揚げを油抜きし細切りにカットする。
- 戻した①をギュッと絞り水気をよく切る。
- ③を食べやすい大きさにカットする。
- 小さじ1杯のオリーブオイルを鍋に入れ、温まったら戻した野菜と油揚げを入れ炒める。
- 干し野菜を戻したお水、塩、酒、みりん、砂糖、醤油を入れて煮立たせる。
- 味が染み渡り煮汁がなくなるくらい煮込んだら完成。
- 全ての野菜が干し野菜なので、栄養価も高く歯ごたえがあります。干し野菜を戻す際に使った水が出汁となり、特に椎茸は香りも風味も良いですよ。食べきれなかったら混ぜご飯にしても美味しいです。
☆美肌効果アップ!ドライトマトのオイル漬け
ドライトマトは水に浸す必要はないので、そのまま使いましょう。
【材料】
- ドライトマト 瓶に詰める程
- エクストラバージンオリーブオイル ドライトマトが隠れるくらい
- にんにく 1片
- 唐辛子 1本
- 保管用の瓶
【作り方】
- 保管用のビンを殺菌消毒し、乾かす。
- ドライトマト、にんにく、唐辛子をビンに入れ、エクストラバージンオリーブオイルを加える。
- お好みでバジルやハーブを入れる。
イタリアでは家庭用の保存食として大変ポピュラーな食べ物です。そのまま食べてもよし、パンやピザ、パスタなど洋風の料理には何でも合いますよ。
まとめ
野菜を多く買い込み、すっかり使うのを忘れて冷蔵庫の中でしなっている姿をみると「やってしまった」と思う人も多いでしょう。生の野菜は、すぐに食べなければフレッシュさや栄養が保てません。折角買ったのに勿体ないですよね。もし、野菜を使い切れない場合は、ご自宅のベランダで干してみて下さい。栄養価が高く健康や美容にも効果のある干し野菜が手軽に作れますよ。
【執筆】野菜ソムリエ:大塚 由布子
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