れんこんの栄養と食感を楽しむレシピ
シャキシャキとした食感が魅力の「れんこん」。栄養豊富で低カロリーな根菜野菜のひとつで、れんこん料理の専門店があるほど人気の野菜でもあります。今回は、れんこんの穴の豆知識や栄養、下処理方法や様々な食感を楽しむレシピを紹介します。
れんこんの豆知識や特徴を知ろう
なぜ、れんこんには穴があるの?
れんこんは穴が開いた珍しい形の野菜です。れんこんの穴は、「先を見通せる」ことから縁起物として、正月料理やお祝いのお料理に使われています。そんな縁起物の穴ですが、何故開いているのか疑問に思われたことはありませんか? れんこんの穴の謎を探ってみましょう。
■れんこんの穴は酸素を運ぶための通気口
れんこんは漢字で「蓮根」と書くため、「根」だと思われがちですが、実は「茎」の部分なのです。土の中で茎が伸びて肥大化し、それがいくつかの筋で繋がっています。
れんこんは水田で育つため、外の空気を葉から土の下で育つ茎部分へ送らなければなりません。その通気口として茎部分に穴が開いているのです。人間で言う「気道」のような働きをしているのですね。
■筋ごとに食感が異なる
れんこんは、土の中で茎が伸びて肥大化し、それがいくつかの筋となって繋がっています。スーパーや八百屋さんではその筋がカットされバラバラになって売られていますよね。実は、筋ごとに含まれるデンプンや繊維の量が異なるため食感も違ってくるのです。
れんこんは、次に生えてくる芽のためにデンプンを蓄えます。よって、最初に育ったれんこんにはデンプンがたっぷりと詰まっていて「ホクホクモチモチ」食感になるのです。筋で繋がったれんこんは、若ければ若いほどデンプンの量が少なくなっていき、シャキシャキとした食感になっていきます。
■筋を見極める方法とは
とは言え、スーパーや八百屋さんでは筋が切り落とされバラバラで販売されているので、どれが最初に育ったものか、どれが若めのれんこんなのか分からないですよね。そこで、筋を見極める方法を紹介します。
<最初の方に育ったれんこん>
細長くシュッと伸びた形をしているのが特徴です。カットされている場合は、黄色味がかった物またはクリーム色の断面をしています。
<中判に育ったれんこん>
大きく丸みを帯びています。カットされている場合は、最初に育ったものと、若いものの中間色の断面をしています。
<若いれんこん>
丸くて小さい形が特徴です。更に芽がついていれば見分けやすいです。断面は透明もしくは白色をしています。
シャキシャキ食感を楽しむ「きんぴら」には若めのれんこん、ホクホクとモチモチ食感を楽しむ「れんこん餅」や「ステーキ」には、最初の方に育ったれんこんがオススメです。
喘息にも効果が? れんこんの栄養と効果
ビタミンCや食物繊維が豊富なレンコンですが、その他にも、私たちの身体の健康を保つ食物繊維やポリフェノールも含まれています。れんこんの持つ栄養素パワーはどんな働きをしているのでしょうか。
■風邪だけじゃない! 喘息などの酷い咳を和らげる効果
れんこんをカットすると色が変色しますよね。これは「タンニン」というポリフェノールが含まれている証拠です。
タンニンには、抗酸化作用や殺菌、止血、炎症を抑える働きがあります。この炎症を抑える効果が喘息や酷い咳にも有効で、お医者さんでもれんこんを勧められるほど。
実は、筆者も気管支喘息を持病で持っておりますが、れんこんを食べるようになってから発作が出なくなり、落ち着いた状態が続いており、身をもってれんこんのタンニンパワーを感じております。
■インフルエンザ予防や美肌にも効果的
免疫力を高め、細菌やウィルスなどを攻撃する白血球の強い味方となるビタミンCが、れんこんには豊富に含まれています。
冬になると必ずと言って良いほどインフルエンザが流行り出しますが、れんこんの免疫力を高める効果はインフルエンザ予防にも有効的なのです。
また、ビタミンCはお肌の張りや弾力を保つコラーゲンの生成には欠かせない栄養素で、シミやソバカス、肌荒れを予防する働きもあります。
ちなみに、ビタミンCは熱に弱い性質がありますが、れんこんのデンプンにより熱に壊されにくくなっています。
■豊富な食物繊維が健康を保つ
れんこんには食物繊維が豊富に含まれていますが、中でも水に溶けない不溶性食物繊維の方が多く入っています。
不溶性食物繊維は、腸で水分を吸収して膨らみ、腸管に直接刺激を与えて便の排出を促してくれます。酷い便秘の方にはオススメの野菜と言えますね。
更に、血中のコレステロールを抑え、急な血糖値の上昇や動脈硬化を予防する働きもありますよ。
美味しく食べるための正しい下処理方法
れんこんはよく洗えば皮ごと食べられる野菜です。普段捨ててしまう野菜の皮やヘタ、タネには栄養素が豊富なので、なるべくなら食べて頂きたいです。しかし、輸入物などには農薬のリスクもありますし、調理によっては皮の舌触りが邪魔をしてしまうこともあります。
選ぶれんこんや調理方法によって下処理方法を変えてみるのも良いですね。
■切り方によって食感が変わる
れんこんの皮を剥く際はピーラーがオススメ。カーブした丸みを帯びた部分も薄く剥くことができます。また、れんこんは繊維質の多い野菜なので切り口によって違った食感を楽しめるのも魅力です。
- 厚く半月切りにするとれんこんの持つホクホク食感を楽しめる
- 縦にカットすると歯ごたえを楽しめる
- 薄い輪切りにするとシャキシャキ食感が楽しめる
■料理に合わせてアク抜き方法を使い分けよう
れんこんにはポリフェノールが含まれているため、カットすると空気に触れて変色をしてしまいます。また、アクを持つ野菜でもあるため水に浸してアク抜きをしましょう。
アク抜き方法も、酢水か水に浸す方法があります。調理法によって使い分けてみると良いですよ。
<白さと食感を残すには酢水>
ちらし寿司やサラダなど見栄えとシャキシャキ感を重視する場合には酢水にさっとつけましょう。酢水に浸すとデンプンの働きが止まるのでシャキシャキ食感になります。
<煮物や調味料で味を染み込ませる場合には水>
煮物やきんぴらなど調味料で味を染み込ませる場合には、水にさっと浸してアク抜きをしましょう。水に浸すとデンプンの働きが残りホクホク食感になります。
れんこんの食感を楽しむレシピ
れんこんの食感と言えば「シャキシャキ」ですが、他にもホクホク、とろっと食感を楽しむことが出来ます。たまには他の食感を楽しんでみてはいかがでしょうか。
■ほくっと食感を楽しむれんこんステーキ
【材料】
- れんこん……1/2個
- オリーブオイル……大さじ1
- バター……大さじ1
- 醤油……大さじ1
- 塩、胡椒 ……少々
【作り方】
- ① れんこんの皮を剥き、1.5cmほどの厚い輪切りにカットします。
- ② 圧力鍋で10分ほど蒸した後、すぐに水で冷やします。
- ③ フライパンにオリーブオイルを入れ、水気をよく切ったれんこんを投入して焼きます。
- ④ 両面に焼き目が出てきたらバターと醤油、塩胡椒で味を調えて完成。
圧力鍋で蒸し上げることでホクホクとしたお芋のような食感を楽しめます。また、使うれんこんは、最初に育ったデンブン質の多いものがよりホクホクしてオススメです。
■とろっと食感を楽しむれんこんスイーツ
【材料】
- れんこん……1個
- クルミ……大さじ3
- きなこ……適量
- はちみつ……適量
- おろしショウガ……適量
【作り方】
- ① れんこんは皮ごと擦り、クルミはポリ袋に入れて砕きます。
- ② すったれんこんをガーゼなどで絞り、汁のみをフライパンへ入れます。
- ③ 強火で粘り気が出てくるまでかき混ぜます。
- ④ 粘り気が出てきたら火を止め、粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やします。
- ⑤ とろっとした感じになったらきなこと蜂蜜、クルミ、おろしショウガかけて完成。
きなこと蜂蜜の他にも、味噌をみりんで溶いたものをかけると、クルミ豆腐のような味わいで美味しいですよ。
まとめ
シャキシャキとした食感が魅力のれんこんですが、下処理方法を変えるだけでまた違った食感が味わえます。お芋のようなホクホク食感や、お餅のようなモチモチ食感を楽しみたいという方は、今回紹介したレシピを是非お試しくださいね。
【執筆】野菜ソムリエ:大塚 由布子
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