マヌカハニーの独自の抗菌物質メチルグリオキサール(MGO)は何からできるの?
ニュージーランドに自生するマヌカの木から採れるマヌカハニーにはメチルグリオキサール(MGO)という独自の抗菌物質が含まれています。そして、MGOはマヌカの花の花蜜に含まれる異なる量のジヒドロキシアセトン(DHA)に由来することが明らかになりました。
マヌカハニーに含まれるMGOはDHAから作られる
2009年にニュージーランドのワイカト大学のピーター・モーラン博士の研究チームにより発表された論文(The origin of methylglyoxal in New Zealand manuka (Leptospermum scoparium) honey)の中でニュージーランドマヌカハニーに含まれるMGOがDHAに由来することが報告されています。
研究では、異なる場所でみつばちが生成した新鮮な9種類のマヌカハニーを、熟成される前にすぐに巣から採取し、それらに含まれるMGO、DHA濃度を測定しました。測定の結果、それぞれのはちみつに139~491mg/kgの低い濃度のMGOが確認され、1192~5099 mg/kgの高い濃度のDHAが確認されました。そしてこれらのはちみつを37℃で保管することによりDHA濃度が下がり、MGO濃度が上昇することが分かりました。また、マヌカの花から取った花蜜には、新鮮なはちみつに見られた量の2倍以上の濃度のDHAが含まれており、どの花蜜にもMGOは含まれていないことが分かりました。これらの結果から、マヌカハニーに含まれるMGOは、マヌカの花の花蜜に初めから含まれている物質ではなく、はちみつの熟成と共にDHAから時間をかけて変換されることで生成されることが分かりました。
マヌカハニーに含まれるMGOとDHAの比率
2012年、ドイツのドレスデン工科大学のトーマス・ヘンレ教授の研究チームは論文(Studies on the formation of methylglyoxal from dihydroxyacetone in Manuka (Leptospermum scoparium) honey)を発表しました。新鮮なマヌカハニーと市販のマヌカハニーに含まれるDHAの量を、o-フェニレンジアミンと誘導体化し、逆相高速液体クロマトグラフィーとUV検出法により測定しています。以前は知られていなかった反応生成物であるDHAとo-フェニレンジアミンを反応させて分光学方法により2-ヒドロキシメチルキノキサリンとして特定しました。ハチの巣から直接採取した6つの新鮮なマヌカハニーには600~2700 mg/kgのDHAが確認され、対応するMGOは50~250 mg/kgでした。市販の18個のマヌカハニーには130~1600 mg/kgのDHAが特定され、それらに対応するMGOは70~700 mg/kgでした。市販のマヌカハニーではDHAとMGOの割合がだいたい2:1でした。新鮮なマヌカハニーでは、MGOに比べはるかに高い量のDHAが確認されましたが、熟成されることでMGOが増加し、だいたい2:1の比率に変化することが分かりました。この結果から、DHAとMGOの量は相関性が観察でき、DHAの含有量が多い花蜜から摂れるはちみつ程、高いMGOを含む品質の高いマヌカハニーになる可能性が高いことが分かりました。
まとめ
これまでの研究で、メチルグリオキサール(MGO)は初めからマヌカの花の花蜜に含まれるわけではなく、マヌカの花の花蜜に含まれるジヒドロキシアセトン(DHA)がはちみつの熟成と共にゆっくり時間をかけてメチルグリオキサール(MGO)に変換されることが分かりました。そして高いDHAを含むマヌカハニーほど、MGO量も高いことが分かりました。DHAとMGOはマヌカハニーの品質を確認する為の有効な指標になると考えられます。
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