疲労回復に呼吸法の効果
普段、何気なく行っている呼吸ですが、意識的に行うことにより、手軽に疲労回復の効果を得ることが可能です。今回はそんな呼吸法について解説していきます。
『疲労回復シリーズ③』
疲労回復と呼吸の関係
私たちが長時間作業をして頭が疲れたと感じている時、脳内の酸素が十分に足りていない可能性が高いのです。正しい呼吸を身に付けることで酸素を十分に吸収することができ、脳機能の向上、体力アップが期待できます。
疲労回復のための手軽な呼吸法
■現代人は呼吸が浅い
パソコン作業、会社でのプレゼン、人間関係など、ストレスや緊張を感じる機会が多い現代人は、自然と呼吸が浅くなっている方が非常に多いのです。また、長時間のデスクワークなどで悪い姿勢を続けることでも呼吸が浅くなり、さらに緊張しやすくなるという悪循環に陥ってしまうのです。
■現代人の疲れの原因
食事が溢れている現代、カロリーが不足してエネルギー不足になっている方はほとんどいないと思っていいでしょう。では、必要なだけのカロリーを摂取しているにも関わらず、なぜ疲労感を感じてしまうのでしょうか。
答えはエネルギーの代謝と循環にあります。
食事から摂取したカロリーは、体内でエネルギー源としてそのまま使われるわけではありません。タンパク質ならアミノ酸、糖質ならグルコースやフルクトースまで分解されて腸管から吸収された後、体内でさらに代謝を受け、「ATP」というエネルギー源を発生させて初めてエネルギーとして使われます。
摂取した糖質や脂質などの「エネルギー源」を「エネルギー」に変える過程には、酸素が必要になるものがあります。酸素がなくても別の経路でエネルギーを作り出すことは可能ですが、純粋に酸素を使ってエネルギーを作り出す過程が停滞することで、細胞へのエネルギーの供給が悪くなってしまうのです。
正しい呼吸をすることは、脂肪をメインとするエネルギー産生の過程を円滑にし、疲労回復を促すとともに、日常の高いパフォーマンスと体脂肪の減少効果も期待できるのです。
■正しい呼吸とは
この章では、実際にどのような呼吸が良いのか、生活にどのように取り入れたら良いのかをご説明していきます。
まず、呼吸をするときに目一杯吸って、肺にある息を全て吐き切ることを意識している方は少ないのではないでしょうか。集中して意識を向けてみると、ほとんど呼吸をしていなかったり、肺の一部しか使わずに呼吸をしている自分に気づくかもしれません。
そんな時は、頭がぼーっとしていたり、疲れたと感じているもの。身体も凝り固まっているはずです。その時に試してみてほしいのが、ヨガの呼吸の一つ「保息(クンバカ)」を意識した深呼吸です。
・保息(クンバカ)の簡単なやり方
❶
肩の力を抜いて鼻から息を吸って吸っていくと、もうこれ以上は吸えないという状態になります。
保息はこの状態から吐くまでの切り替えなのですが、息を詰まらせて止めてしまってはいけません。もう吸えない状態で、吸っているか吸っていないかわからない状態を感じ、少し経って息を吐きたくなったら吐く。
❷
次に吐いていき、これ以上は吐けない、吐いているかわからない状態を少し感じたら今度は吸っていく。
このように意識すると保息がわかりやすくなります。初めのうちは呼吸のスピードを意識せずに自然な呼吸を大きく行った方が効果を感じられるでしょう。緊張した時、怒った時など呼吸が浅くなっていると感じた時に行うと、気持ちが落ち着くことを感じられるはずです。
まとめ
いかがでしたか? 今回ご紹介した呼吸法「保息」は、仕事の合間など気が付いたときにも簡単に行える疲労回復法です。気づいた時、疲労感を感じる前に1〜2呼吸、20秒程度の時間ならとれるのではないでしょうか。
手軽で疲労回復の効果も高い呼吸を意識した生活を始めるだけで、クリアな視界が広がるかもしれません。是非、お試しください!
【執筆】薬剤師(パーソナルトレーナー):安野 勇太
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