普段の食生活と便秘の関係性は?
便秘は多くの人が悩んでいる一般的な健康問題で、高齢者や女性に多く見られます。便秘になるとお腹の不快感でイライラしたり、お肌が荒れたりするなどの症状が出て身体的、精神的に悪影響を及ぼします。便秘の解消方法として、水分や食物繊維の摂取の増加や便秘薬の使用が推奨されています。
普段の食事パターンと便秘の関係性は?
日本で18歳~20歳の3770人の女子学生を対象に食事の調査が行われ、食事パターンが便秘発症に影響するかについての分析が行われました。食事の調査には”自己式食事暦法質問票”が使用され、便秘に関しては”ローマI 基準”が使用されました。調査の結果、979人(26%)が機能性便秘であることが分かりました。”機能性便秘”とは、腸の病気や薬の影響で起こる便秘ではなく、生活習慣や食生活が原因で起こる便秘を示します。食事調査では1:健康的(野菜、海藻、大豆製品、海産物、キノコ類、じゃがいも、果物)、2:伝統的な日本人(お米、味噌汁、大豆製品)、3:西洋式(肉、加工肉、脂肪、卵)、4:コーヒー、乳製品(コーヒー、乳製品、甘いもの)の4つの食事パターンが特定されました。これらの食事パターンと便秘の発症の分析により、お米、味噌汁、大豆製品を多く摂取し、パンやお菓子類の摂取が少ない伝統的な日本人の食事パターンの人は圧倒的に機能性便秘が少ないことが分かりました。
普段の食事でマグネシウム・水を多く摂取する人は便秘になりにくい?
日本で行われた別の調査では、18歳~20歳の女子学生3835人を対象に、普段の食事と便秘に関する調査を実施しました。調査の結果、1002人(26.2%)の学生に便秘の症状があることが分かりました。そして食事と便秘の関係を分析した結果、水分やマグネシウムの少ない食物の摂取が、便秘の発生と関係があることが分かりました。水の摂取量が少ないと、便の水分も減り便が硬くなる為、便秘になる確率が高くなります。また、マグネシウムは腸管内の水分を保持し、便通を良くする効果があります。
やっぱり食物繊維が大事?
香港で行われた研究では、食物繊維が豊富なキウイフルーツの摂取が、便秘患者に効果があるのかを調査しました。実験には33人の便秘患者と20人の健康な人が参加し、4週間毎日1日2回キウイフルーツを食べました。
便秘患者の便秘症状の変化
実験前 | 実験後 | |
便秘の不快感 | 2.6 | 2.0 |
排便習慣の満足度 | 2.7 | 1.6 |
週の下剤の使用回数 | 2.2 | 0.8 |
便秘の不快感;0~5(0:不快感なし・・・・5:不快感が強い)
排便習慣の満足度;0~5(0:大変満足・・・・5:不満足)
実験の結果、便秘患者で週の自然排便数が増えた人は54.5%いたことが分かりました。そして便秘患者の1週間の自然排便の頻度は平均2.2回から平均4.4回に改善されたことが分かりました。また、排便と便秘の症状に関してのスコアは、便通の不快感や下剤の使用が著しく減り、便秘の症状が改善されたことが分かりました。この実験から、食物繊維の豊富な食物は便秘を改善する効果があることが分かりました。また、キウイフルーツはビタミンA・C・E、カリウム、ポリフェノールを豊富に含んでおり、それらの栄養素も便通促進に効果的に働いたと考えられます。
まとめ
上記の調査から、お米、お味噌汁、大豆製品を多く摂取する日本人の伝統的な食事パターンの人は便秘が少なく、パンやお菓子の摂取が多いと便秘になりやすいことが分かりました。また、マグネシウム、水分、食物繊維を多く含む食材も便秘解消の効果があることが分かりました。便秘になると、お腹が張って動くのが嫌になり、気分も落ち込みます。便秘気味の人はパンやお菓子の摂取を減らして、なるべくご飯を食べるように心がけ、また、マグネシウムや水分、食物繊維もうまく取り入れて便秘にならないように気を付けましょう。
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