ホルモンバランスを保つ方法③
ホルモンバランスは体の均衡を保つのに大変重要です。体内で分泌されるホルモンのバランスが乱れると心身にさまざまな影響があらわれます。今回は、ホルモンバランスを保つ方法についてお話します。
ホルモンバランスを保つ方法③
適度な脂肪を摂る
脂肪は、インスリン抵抗性と食欲を減らすホルモンのバランスを保つのに有効です。脂肪にはいくつかの種類がありますが、ホルモンバランスに良い脂肪として、中鎖トリグリセリド(MCT)があります。MCTは、肝臓で吸収されると、即座にエネルギーとして代謝される有効な脂肪です。太りすぎや肥満、糖尿病の人のインスリン抵抗性を低下させる働きもあり、成人病予防などにも良いとされています。MCTは、ヤシ油、パーム油などにたくさん含まれています。
乳脂肪と一価不飽和脂肪酸にもホルモンバランスを整える働きがあります。糖尿病や高トリグリセリドの脂肪肝の人のインスリン感受性を高めます。オリーブオイやナッツにたくさん含まれています。これらの脂肪酸の摂取は、GLP-1、PYY、コレシストキニン(CCK)などホルモン生成を助けます。
ホルモンバランスに悪い脂肪としては、トランス脂肪があります。トランス脂肪酸は、インスリンレベルを高め、脂肪の蓄積を促進させます。
ホルモンバランスを保つには、良い脂肪をとることが大切です。
食べすぎに注意する
食べすぎはホルモンバランスを乱す恐れがあります。一方で、栄養素が不足してもホルモンバランスは乱れるので、適度な食事量を摂ることが大切です。
過食は、インスリン抵抗性を低下させ、インスリンレベルを上昇させます。体重増加や肥満にも繋がるので、ホルモンバランスを保つには食べすぎないことが大切です。
Badoud et al. (2015) の研究では、インスリンレベルの高い肥満傾向の人と痩せた人に、1300カロリーの食事と通常食を毎日摂取してもらったところ、どちらの群でも1300カロリーの食事を摂った人はインスリンレベルが2倍増加しました。カロリーを制限することでインスリンが増加するということがわかりました。摂取カロリーを減らすと、体重増加にかかわるストレスホルモンのコルチゾールが上昇するためだと考えられます。
Tomiyama et al. (2010) の研究では、1日当たり1200カロリー以下に制限すると、コルチゾール濃度が倍に上昇するという結果も出ています。これらの研究で低カロリー食がインスリンレベルを上げるのは、カロリー制限によるストレスがホルモンバランスを乱し、これがインスリンレベルに影響をおよぼしたのではないかと考えられます。
まとめ
食生活でホルモンバランスを保つには、良い脂肪をたくさん摂り、トランス脂肪のような体に悪い脂肪を控えることが大切です。そして食べすぎを防ぐことも重要です。一方で、カロリーを減らしすぎるとホルモンバランスを乱すので、適量の食事を摂るように心がけましょう。
さまざまな栄養素をバランスよく摂り、食事で足りない栄養素はサプリメントで補うようにしましょう。
引用文献
Badoud, F., Lam, K. P., Perreault, M., Zulyniak, M. A., Britz-McKibbin, P., & Mutch, D. M. (2015). Metabolomics reveals metabolically healthy and unhealthy obese individuals differ in their response to a caloric challenge. PloS one, 10(8), e0134613.
Tomiyama, A. J., Mann, T., Vinas, D., Hunger, J. M., DeJager, J., & Taylor, S. E. (2010). Low calorie dieting increases cortisol. Psychosomatic medicine, 72(4), 357.
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