長期間のストレスはどんな影響があるのか②
忙しい毎日を送る現代人は、日々ストレスの危険にさらされています。自分では気づかないうちにストレスを溜め込んでいるかもしれません。今回は、ストレスを長期間受けているとどんな影響があるかということについてお話します。
長期間のストレスはどんな影響があるのか②
慢性的な痛み
ストレスは、体のさまざまな部分に慢性的な痛みや凝り、炎症などを引き起こします。これはストレスが増えるとコルチゾールという痛みや炎症の原因物質が発生するからです。
Gil et al. (2003) の研究では、鎌状赤血球症という貧血がある10代の被験者37人の体の痛みを調べたところ、日常的に強いストレスを感じている人ほど体に慢性的な痛みがあることがわかりました。これはストレスホルモンのコルチゾールの上昇と慢性的な痛みが関連しているからだと考えられます。
Vachon-Presseau et al. (2013) の研究では、慢性的な背中の痛みを感じている人は、コルチゾールレベルが高いこともわかりました。
Van et al. (2008) の研究では、慢性的な痛みを感じている人は髪のコルチゾールが高いという結果が出ています。
これらの研究から、ストレスの原因となるコルチゾールが高まることで体の痛みや炎症も引き起こされることがわかりました。
ニキビ
ストレスは、お肌の美容にも影響をおよぼします。その影響の一つがニキビです。ストレスが増えると皮脂分泌が増えニキビができやすくなります。
ストレスを感じている人は無意識のうちに手で顔を触わってしまうので、手の細菌が顔に付着してニキビの原因となります。いくつかの研究で、ニキビとストレスレベルの関連が明らかにされています。
Chiu et al. (2003) の研究によると、学生が試験でストレスを感じるとニキビができやすくなることがわかりました。試験中にストレスを高く感じる人ほど、ニキビが重症化しやすいという結果が出ています。
Yosipovitch et al. (2007) の研究でも94人の10代の被験者にニキビとストレスの関連を調べたところ、特に男子学生にその関連が強いことがわかりました。
ニキビの原因として、男性ホルモンがあるので、その影響を受けやすい男子生徒はストレスの影響も受けやすいのではないかと考えられます。ニキビができる原因としては、ホルモンバランスの乱れ、細菌の発生、皮脂の過剰分泌、毛穴詰まりなどがあります。なかでも男性ホルモンは皮脂の分泌と強く関係していますので、それがニキビの原因となります。男子生徒は思春期で男性ホルモンの分泌が増えるので、特にその影響が出やすくなります。
まとめ
このようにストレスに長期間さらされていると慢性的な痛みを感じやすくなり、ニキビもできやすくなります。このような症状が起こらないようにストレス対策をして、規則正しい生活やバランスの良い食生活を心がけましょう。食事で足りない栄養素は、サプリメントで補うようにしましょう。
引用文献
Gil, K. M., Carson, J. W., Porter, L. S., Ready, J., Valrie, C., Redding-Lallinger, R., & Daeschner, C. (2003). Daily stress and mood and their association with pain, health-care use, and school activity in adolescents with sickle cell disease. Journal of Pediatric Psychology, 28(5), 363-373.
Vachon-Presseau, E., Roy, M., Martel, M. O., Caron, E., Marin, M. F., Chen, J., … & Rainville, P. (2013). The stress model of chronic pain: evidence from basal cortisol and hippocampal structure and function in humans. Brain, 136(3), 815-827.
Van Uum, S. H. M., Sauve, B., Fraser, L. A., Morley-Forster, P., Paul, T. L., & Koren, G. (2008). Elevated content of cortisol in hair of patients with severe chronic pain: a novel biomarker for stress. Stress, 11(6), 483-488.
Chiu, A., Chon, S. Y., & Kimball, A. B. (2003). The response of skin disease to stress: changes in the severity of acne vulgaris as affected by examination stress. Archives of dermatology, 139(7), 897-900.
Yosipovitch, G., Tang, M., Dawn, A. G., Chen, M., Goh, C. L., Chan, Y. H., & Seng, L. F. (2007). Study of psychological stress, sebum production and acne vulgaris in adolescents. Acta dermato-venereologica, 87(2), 135-139.
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